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オカリナ ブログ 音楽

虎蔵さんのこと

 ぼくは、二十代の終わりに東京から鳥取に帰ってきて、10年ほど経った頃、音色の美しさに惹かれて、オカリナを吹き始めました。

 時折訪れる公民館の高いところに、掲げられていた、いくつかの肖像の中に虎蔵さんの肖像もありました。

 虎蔵さんのことは、「金太郎」「だいこくさま」「花咲か爺」「一寸法師」などの作曲をし、言文一致唱歌を提唱した先生だというのは、岩美町民はよく知っています。

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 新型コロナ騒動の渦中に満60歳を迎え、シニアバンクに登録するとまもなく、虎蔵さんのことを皆さんの前で話してください。という依頼がありました。何度か延期となり、この度ようやく実現することになりました。新たな機会をいただいたことに感謝しています。

 僭越ながら、末っ子で生まれて、18か19くらいで上京したこと、明治・大正・昭和という時代の変化を経験したことなど、音楽家としても共通点があり、親しみがありました。(ぼくは、昭和・平成・令和を経験した世代と後々言われます。)

 虎蔵さんが納所弁次郎さんらと言文一致唱歌を提唱した頃、滝廉太郎さんが幼稚園唱歌の中で、今でも歌われている「お正月」「鳩ぽっぽ」などを作曲されています。その数年後に滝廉太郎さんは亡くなってしまわれます。

 ちょうどその頃、虎蔵さんは、それまでとまったく曲調の異なる「青葉の笛」を作曲されていて、出だしの音が「荒城の月」に似ているのは、もしかしたら若くして亡くなった滝廉太郎さんを偲んで作られたのではと思ったりもしましたが、そういう記録は見つかりませんでした。

 音楽に限らず、芸術は、今でも格調高く、歴史があり、権威があるものにこそ価値があるとされる傾向があります。そのため、敷居が高く、敬遠されている面があります。

 虎蔵さんは、音楽はもっと身近なものであってほしい、子どもたちこそ音楽の楽しさを伝えたいと願いました。それは、音楽が心を豊かにする人類共通の言語だからです。その願いを、ぼくも引き継いでいきたいと思っています。

(広告)緑の花がある暮らし。

作成者: ocarina_mu

オカリナ、ギター、クラリネット
演奏家の岸本みゆうです。
アクセスバーズ・プラクティショナー

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