ネットワークというと、「仮想世界」に例えられることが多い。「仮想空間」ともいう。ネットワークで交わされる通貨にも「仮想通貨」というものがある。多くの人にとって、ネットワークは、リアルとは遠いものという感覚が強いと思う。ネット依存や闇バイトなどのことばが示す通り、ときには「闇」に例えられる。最近の例だと、AIによる性的な偽画像が広まる危険を指摘するニュースが流れていたりする。
2024年にはそのAIが登場した。ネットワークを通じて収集された莫大な情報を元にAIが最適と思われる回答を提示してくれるというものだ。
確かに、ネットワークには見えない部分が大きい。危険性があるのも知られているとおりだ。それでもどうだろう、スマホは2021年には90%近くの世帯で普及している(総務省データ)。個人レベルだともっと高いように思う。身近どころか、既に道具であり、生活の一部になっていないだろうか。ここまでくると、ネットの中にリアルを見る割合も増えてくる。どういうことかというと、ふだんは寡黙な人でも、ネットの中でリアルな姿や思考を見せる人も少なからずいる。
それに、ネットには距離や時間の制約が全くと言っていいほどない。しかも、同時に拡散もする。このことは、今リアルだと思っている世界は単に制約の大きな「物理世界」であって、ネットはそれとは性質の違う新たに登場した規模の大きな世界だということだ。
単に危険だと決めつけて可能性をも否定してはいないかということをぼく自身も心しておきたい。