山陰地方の新聞地方紙のひとつである「日本海新聞」の投稿ページ「読者の広場」にこのような記事が掲載されました。とても感銘を受けました。記憶に残すため、文字起こしをしておこうと思います。
すてきな、ちいさな音楽ホールを鳥取市に!
私は生まれ育った鳥取に拠点を置き、国内各地で活動するビオラ奏者です。ビオラはバイオリンより少し大きな弦楽器で、深く豊かな音色が持ち味です。先日は鳥取市内で仲間と0歳児から入れるクラシックコンサートを企画し、おかげさまで大変好評でした。
子どもも大人も一緒に楽しめる生演奏を日常的にお届けしたいのですが、悩みの種は鳥取のコンサートホール事情。もっともニーズがあるのは300人規模の小ホールですが、既存のものは多目的利用のため音響面で不備があり、生演奏に向きません。音響の良いホールは大き過ぎ、市民の日常的なニーズに当てはまりません。
国内外の一流演奏家を招いても、その真価を味わえず、いつも悔しい思いをしています。子どもたちの良い耳を育てることもできません。ホールの音響は演奏する側だけでなく、聴きに来てくださる皆さんの人生の豊かさまで左右する、とても重要な問題なのです。
志を同じくする仲間60人と共に「鳥取市に音楽小ホールを願う音楽家の会」を結成しました。市民が気軽に集え、芸術を通じて心を豊かにすることのできる場を、今を生きる者の使命として、未来の鳥取市に残したいのです。もちろん市民の需要は音楽だけではなく、多くの人が利用できる場でなければなりません。
そこで、鳥取市の規模だからこそできる「コンパクト芸術都市」構想はどうでしょうか。音楽と演劇のプロフェッショナルな要求を満たすホール、それに美術館を併設し、「あそこに行けば面白いものに出合える」という芸術拠点を中心市街地につくるのです。
現在、旧鳥取市役所本庁舎跡地利用および既存ホールの建て替えについて検討中で、市民アンケートも実施予定です。私のような子育て世代にも定住・移住先として選ばれるような魅力あふれる鳥取市を、皆さんと一緒に創造できたらと願っています。
棚橋 恭子(「鳥取市に音楽小ホールを願う音楽家の会」代表、ビオラ奏者)
以上です。